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2016年11月

地域環境権について

FIT法の改正と飯田市の独自の条例「地域環境権」について

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10月29日の飯田自然エネルギー大学の講義の報告。
「再生可能エネルギーを巡る法制度」及びディスカッション。
講師 小高篤志(環境省大臣官房総務課課長補佐)。

2017年4月1日に固定買い取り制度(FIT)の法改正が施行されます。
目的は、
1、エネルギーミックスのために。(現状は再エネは大型水力入れて、全エネルギー量で12,2%だが、2030年度には22%―24%を実現するため。ちなみに現状は、大型水力を除く再エネの9割が事業用太陽光発電。)
2、国民負担の抑制のためにコスト効率的な導入を促進。(買取見込みが2,3兆円に到達見込み。)
3、電力自由化のシステムを活かして、効率的な電力の取引、流通を実現。

2016年3月31日までに太陽光発電所の建設の経産省の許可を得ていても、電力会社の接続許可がない案件は、経産省の認定を取り消されます。

(理由は太陽光発電所の建設の未稼働案件があまりにも多く、それを経産省の電力量統計は、計算上は未稼働の発電所の発電量もカウントするシステムなので、それを数えると再エネの発電量や送電線への接続量が実際よりずっと膨大になり、それを理由に電力会社が最エネの買い取り抑制、買取保留という事態を引き起こしているため。)

逆に言えば2016年3月の終わりまでに、このままでは許可を取り消される予定の太陽光発電所の案件が、今からも来年の3月までなら、市場やブローカーの間で安く多く出回るので、FITのいい条件の太陽光発電所の案件を探している人にはチャンスと思います。

また今回の法改正で、太陽光発電所の保守、点検や発電所の発電の終了後に撤去のあり方も遵守を求め、違反時の改善命令、認定取り消しも可能としています。

現行の自然エネルギー事業の9割が事業用太陽光発電という状態を改善していくために、(大型水力発電は除く。)風力、木質バイオマス、小水力などの多様な再エネ事業を行っていくために、FITの各エネルギーの中長期的な価格の見通しを保証していきます。

事業者間の価格競争による買い取り価格低減を目指して、メガソーラーなどの事業用太陽光発電所を対象に、入札制を始めます。

住宅用太陽光発電や風力発電などには、数年先の認定案件や買取価格まであらかじめ、提示します。(地熱、風力、中小水力、バイオマスというリードタイムの長い電源について、発電事業者の参入を促すため。)
ちなみに風力発電のFITの日本の価格は、外国の値段の二倍以上で、かなりチャンスが意外にあると言われています。

また電力システム改革としての電力自由化の新たな制度として、再エネ電力の買取義務者を現行の小売業者から、送配電事業者が行います。(しかし市場経由以外でも、小売り電気事業者への直接引き渡しも可能とします。)

2019年問題という、2009年に始まった太陽光発電所の余剰買い取り制度で生まれた太陽光発電所が、10年で買い取りが終了になり、その発電所の発電する電気をどう扱うかが問題になってきます。

これからの一般的な太陽光発電ビジネスは、今までのFITに頼った売電をメインにしたビジネスモデルから、ゼロエネルギーハウスというオフグリッドの様な、家の自家消費をメインとして蓄電池と一緒に蓄電もできる形態がメインになっていく様です。
ただ完全なオフグリッドではなく、送電線につなぎ売電もこれまでの量ほどではないにしても同時にできるシステムの様です。(経産省、環境省はFIT後の期間が終了した家庭用などの太陽光発電の活用をこの様に検討している様です。)

二日目 「飯田市再エネ条例」認定施設見学。
長野県飯田市には「地域環境権」という独自の条例があります。
この条例の特徴は、「再エネ資源は市民の総有財債。そこから生まれるエネルギーは、市民が優先的に活用でき、市民はその収益を財源に自らの手で地域づくりをしていく権利がある。」という内容です。
その条例に基づき、太陽光発電所を建設した二つの自治体を見学しました。
長野県飯田市は、長年公民館活動が活発な地域で、古くは大正デモクラシーや大正3年に住民により日本初の電気利用組合が設立された経緯といい、地域の市民活動が行政の協同でかなり活発な地域といえます。
市民の内発的な動機が重要とも言えます。
こういう事例では、事業性と公共性の両立が求められます。
こちらの審議会は厳しさがありますが、落とすためではなく育てるためです。
全体として、こういう新しい必要なことに積極的な風土、カルチャーを作っていく個人、個人の奮い立つ志が重要だと思います。